【導入事例 Vol.44】
岡山理科大学 准教授 寺野 元規

■経歴

1981年生まれ。名古屋工業大学・大学院工学研究科を修了後、名古屋大学のマテリアル理工学専攻の研究員となり、2年間勤務。東京工業大学で4年間助教を務め、2017年に岡山理科大学に赴任。生産加工学のなかでも塑性加工の研究を専門とする。

■先生の研究について教えてください。

 生産加工学のなかの主に塑性加工を専門としています。生産加工という分野がありますが、そのなかでも「変形させる」ことによって金属を加工する技術を研究しています。主な研究であるプレスによる加工は、自動車の部品の成形をはじめ、アルミサッシやスチールの棚、机、椅子といった身の回りの様々な物の製造に欠かせない技術です。

■産学連携による企業との関わりが多いように思われますが。

 そうですね。私は教員として学生に指導すると同時に研究者として企業との共同研究に携わっています。岡山県は部品加工などを手がける中小企業が多く、企業単独ではできない技術開発も多いので、共同で研究しています。大学に産学連携を推進する部署があり、そちらに企業が相談してくるケースが多いです。新しい技術を共同開発することで、今までは受注できなかった製品が作れるようになります。

■岡山理科大学に着任後、どのような経緯でNASを導入されたのですか。

 私の研究は卒業研究に取り組む4年生の学生と一緒に進めていくのですが、学生がデータを紛失したり、管理できていなかったりすると非常に困ったことになります。幸いにも私は、出身大学である名古屋工業大学の恩師に記録することやデータの重要性をしっかり指導していただきました。また、前職の東京工業大学ではNASを導入してデータを管理していたので、それを参考にしながら着任後早々にNASを導入しました。  

しかし私自身、NASの運用に関しては詳しくないので、カタログを見ながら要望を伝え、アプライドの担当の方に相談しました。心配だったのは、最初のセットアップです。RAIDの組み方などの設定が自身でできるのか心配でした。その点、初期設定をして持って来てくださるので、非常に助かりました。また、それほどネットワークには詳しくなく、ネットワークの勉強や設定に時間も割けないため、初期設定をしてもらえることで、導入のハードルは下がりました。

■導入後に、どのようなメリットを感じましたか。

 まず、データを安全に保管できる点です。NASに保管しておけば、常にそこにデータがあるので必要な時にすぐに取り出せて、時々刻々とデータのバックアップができます。近年の研究開発では精度の高いシミュレーションソフトによるデータ解析が欠かせないのですが、時間をかけて解析した膨大な量のデータもNASへバックアップしておけば、確実で安心ですし、データの改ざんも防止できます。

 また、私の場合はノートパソコンを授業などでもよく使うのですが、パソコン自体にたくさんのデータを入れておけないのでNASに保管し、必要な時に呼び出して活用しています。

二つ目は、重いデータのやり取りも短時間で気軽にできる点です。学生の卒業研究において、データの送信・受信をしなければいけない場合が多々あります。最近はカメラの性能が向上し、一つの画像データが重いため、メールでのやりとりもできず、USBを差してデータを取り込む方法もウイルス感染やデータの流出などの心配があります。その点、NASを経由すれば、ハードディスクからのダウンロードの順番待ちといったこともなく、データのやり取りに要する時間も短縮でき、安心感があります。

■今後のNASの活用についてはどのようにお考えでしょうか。

最近1台増設し、私とテーマが近い研究室と合同で運用しています。アクセス権限も設定できるので、教員用と学生用のNASを分離しました。そうすれば学生の成績や個人情報の管理にも活用できると思います。外部に漏れてはいけない情報が多いですからNASだと安心ですね。

 学生に関しては、まだまだデータの扱い方に危機感がないので、そこを管理するのは私たち教員の役目だと思います。日頃からバックアップをこまめに取らせて、保管方法を指導し、私が確認するようにしています。卒論に関してもNASの指定のホルダーにあげてもらい、私がチェックしてNAS経由で学生に返すという方法を取っています。

 さまざまなデータがNASに保管されていると参考になる資料を私が提示することも容易ですから、学生の学ぶ意欲も刺激され、資料を整理するスキルもアップするでしょう。

 私個人としては、NAS導入以前のデータもあとから入れることができ、研究の過程で過去のデータを参照したり、まとめたりといったこともやりやすくなりました。学内での打ち合わせの際も、簡単に過去のデータ(発表資料など)を呼び出せ、みんなで情報共有することができて便利です。

 また今のところは学内のローカルで運用していますが、グローバルに運用すれば出張中にアクセスできるという利点もあります。ただ、その際リスクがどれぐらいあるのかは知識が不足しており、NASの設定方法やリスクについてもう少し知りたいです。

  NASは、研究者にとっても、学生にとっても、今後、様々な場面で活用できるのではないでしょうか。

■導入NAS

モデル名 / 型式 D-Master NAS HDD Type-AS6604T
プリインストールOS ASUSTOR Data Master (ADM)
筐体 ASUSTOR AS6604T | 4 ベイ | ホットスワップ対応
CPU Intel Celeron J4125
メインメモリ 4GB(4GB x1) SO-DIMM DDR4
ストレージ(標準) 4TB x4 (WD Red Plus 採⽤ | 5200rpm)
RAID設定 [オンボード] RAID5 (NVMe-SSD 不可)
サウンド 非搭載
ネットワーク(標準) 2.5 Gigabit Ethernet x 2
USB USB3.2 Gen1 Type-A x3(前⾯ x1/背⾯ x2)
その他 RJ45(2.5 ギガビット)x2(背⾯)| HDMI 2.0a x1(背⾯)
拡張スロット 2x M.2 NVMe-SSD(M-Key 2280(PCIe Gen2) ※キャッシュ⽤ストレージ
ストレージ 最⼤ 72TB (18TBD x4)| RAID 0/1/5/6/10 対応
メモリスロット 2 スロット | 最⼤ 8GB(4GB x2)
拡張ドライブベイ 3.5/2.5 インチ・シャドウ・ベイ x4(ホットスワップ対応)
キーボード 非搭載
マウス 非搭載
電源ユニット 90W 100V to 240V AC アダプター/td>
外形寸法(約) 約(W)170 x(D)230 x(H)185.5 mm ※突起部は除く
データ復旧サービス・パック ⾮搭載
保証期間 3年間センドバック⽅式ハードウェア保証